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第52話 何の話?

last update Last Updated: 2025-06-30 12:05:15

 ほどなくしてそれから数日がったある日の事。俺は何も用事が無いので家にいた。

「お義兄《にい》ちゃん!! どうして私のケータイに知らない女の人から電話とかメールが来てるの!?」

 義妹《いもうと》が結構なお怒りモードで俺の部屋に突撃してきた。

 何を言ってるのか意味を理解できないでいた俺に、伊織がケータイ画面を目の前に「ほら!!」って感じで差し出してきた。暑くなり始めたこの時期は部屋の入り口は寝る時以外は開いていることが多い。

「お義兄ちゃん?」

「え? あ、ああそうかケータイにだっけ?」

「そうだよ!!」

 ぐぐぅ~!! と目の前にケータイがさらに押しつけられてきた。

「ほ、ほら!! あれだよ!! 前に伊織が言ってたじゃないか!!」

「え! 私が!?」

「そうだぞ! ほら! 前にさお義兄ちゃんが知らない……」

「わぁぁぁぁぁ~!!」

 取が目の前でワタワタしてる。

――なんかこういう伊織の仕草ってあんまり見たことないから新鮮だ。しかもかわいいし。

「で? これはどういう事? またあっち関係?」

「ああ、そ、そうなんだよ実は……」

 なぜ知らない女の子から妹に連絡が行くようになったのか、数日前に起きた事を伊織に伝える。

「はぁぁぁ」

 伊織から大きなため息が漏れた。

「お義兄ちゃんってホントにお人よしというか、巻き込まれ体質というか。今回もお話聞くだけじゃないんでしょ?」

「そりゃまぁ……知り合いからの紹介って言うか、頼って来てくれたんだからそんなに無下にも出来ないだろ?」

「うん、そう……だね」

 考えるように小さくうなずいた。

「わかった。じゃぁ私から連絡取っておくけどいつがいいかな?」

「そうだなぁ、次の土日とかでいいんじゃないかな?」

 伊織は「オッケー」と言い残して二階の自分の部屋へと戻って行った。<

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